スキル次第で大きな成果を挙げることができるのがオープンソースデータベースの醍醐味

OSS-DB技術者認定資格はDBエンジニアの信頼の証

OSS-DB Silver合格者
SRA OSS, Inc. 日本支社

技術開発部 チーフエンジニア 安齋 希美 氏

大学は外国語学部で文系出身ですが、現在はOSSのデータベースエンジニアとして活躍される安齋さん。
データベースエンジニアとしてスキルアップを図る上で、格好の目標として、OSS-DB Silverの取得を目指し、見事合格されました。

学生時代からのWebサービスへの興味が高じてOSSの世界へ

- 現在ご担当されている仕事の内容についてお聞かせください

当社は、オープンソースソフトウェア全般を扱っていますが、特にLinuxおよび「PostgreSQL」を中心としたシステムのコンサルタントやサポート、トレーニングに注力して提供しています。

PostgreSQLとは、ライセンスにより配布されているオープンソースの「オブジェクト関係データベース管理システム(ORDBMS)」のことです。

私は新卒で2007年の4月にSRAに入社した後、同年の7月からSRA OSSにデータベースエンジニアとして出向し、今年で入社5年目になります。今年度からオープンソースのサポートだけでなく、自分たちで開発を行う技術開発部に配属になりました。今後は、PostgreSQLのミドルウェア「pgpool-II」の開発を担当することになっています。これまであまり経験のない開発分野なので、いまは基礎的なプロファイリングなどを勉強しているところです。

- 学生時代からエンジニアをめざしていたのですか

大学は外国語学部で文系出身だったのですが、学生のころからパソコンや携帯電話など、新しいデバイスが好きでした。また、Webサービスにも興味があって、デザイナーにはなれないまでもコーダーにでもなりたいと考え、IT系企業でテストデータを作るアルバイトをしていました。

ただ、その作業自体は、あまり面白いものではなかったので、システムを作る側の仕事がしたいと思っていました。Linuxは、オープンソースという特性から、一般人にも立ち入れる領域というか、本業だけでなく趣味でもできますし、会社を辞めてからも続けられると思って始めたのがきっかけです。

 - オープンソースデータベースの魅力とは何ですか

 入社まもなく、PostgreSQLの研修があり、そのときデータベースが、ほんのちょっとの短いコマンドで、簡単に結果が出たり、多くの命令を出せることを知り、とても興味を持ちました。

データベースは、システムの中核にあたるレイヤーの深い位置にあるため、全体像が見えにくい分野で、しかも特化した知識や技術のスキルが必要になります。しかし、システムのプログラムを変えてもそれほどパワーアップは期待できないのに対して、データベースは、ほんのちょっと設定を変えるだけで性能が何倍にも上がります。それだけに少し勉強すればすごいことができるかもしれないと感じました。それがデータベースエンジニアを選ぶきっかけになりました。

それに、データベースは、Webサービスとも深く関係があります。膨大な数のユーザ接続をさばく超大規模サービスWebサイトの運営を支えているのは、データベース技術です。その意味でも学生時代にやりたかったことに近づいている感じがしました。

オープンソースであるPostgreSQLベースのプロダクトでは、本体ソースコードを読むだけでなく、最終的には、自分たちが改良したソースコードをPostgreSQLのコミッターに提案するのが、チーム全員の目標でもあります。また、商用のデータベースでは、たとえその製品を使い、勉強してプロになったところで、その製品を提供している会社に入社でもしない限り、ソースを自由に改良することはできません。しかしPostgreSQLなら、自らがコミッターとなって開発の成果を採用し、改良することも可能です。

私は、現在いるコミッターやPostgreSQLの創生期からいる開発者の人たちと、カンファレンスなどでいっしょに仕事をすることもありました。そういう人たちに会えることもオープンソースの世界の面白さだと感じます。

お客様の信頼を得られるだけでなく、自分の自信にも繋がる資格

- オープンソースデータベース技術者認定資格(OSS-DB技術者認定資格)を取得するきっかけは何でしたか

これまで、自分の技術力の向上を図る方法としては、会社が提供するPostgreSQLやLinuxのトレーニングやチーム内の勉強会に参加するほかに、自分が講師をすることになって勉強を迫られるなど、どちらかといえば実際の仕事をしながら、実践的に知識や技術を習得してきました。

ですから、今年の7月からスタートしたLPI-Japanの「オープンソースデータベース技術者認定試験」(OSS-DB Exam)は、データベースエンジニアとしてスキルアップを図る上で、格好の目標になりました。当社では、データベースチーム全員が受験しました。結果として、「オープンソースデータベース技術者認定資格」(OSS-DB技術者認定資格)で、基本的な知識が問われる「Silver」には全員が合格。上級レベルの「Gold」にもチームの中堅以上の人たち全員が合格しました。チームには女性は私しかいませんので、女性の「Silver」合格者は、いまのところ私一人ということになります。

また、人材育成には会社も力を入れており、OSS-DB Examの受験料は会社がすべて負担してくれただけでなく、就業中に試験のための実習時間をできる限り会社が作ってくれたことも今回の成果につながった要因だったと思っています。

- OSS-DB技術者認定資格の仕事でのメリットは何でしょうか

 OSS-DB技術者認定資格は、チームのみならず、プロダクトやサービスを提供する企業にとっても、データベースの技術力やスキルをお客様に明示し、信頼していただくことにつながる認定資格だと思います。また、エンジニア自身にとっても、自分の技術力を確信でき自信につながる制度です。その意味でも、プロジェクトでデータベース周りを担当している人たちは、ぜひOSS-DB技術者認定資格の「Silver」にチャレンジすべきだと思います。さらに、キャリアアップして大規模データベースやコンサルタントエンジニアを目指すのであれば、「Gold」の取得は必須です。

仕事を通した実践的なトレーニングで集中して勉強

- 今回、OSS-DB Examを受験するにあたり、どのような勉強方法で取り組んだのでしょうか

OSS-DB技術者認定資格に関する参考書では、現状の最新版であるPostgreSQL 9.0に対応した市販本は数多くありません。またデータベースにはデモ機が必要でした。

そこで、会社での仕事を通して実践的なトレーニングを集中的に行いました。また、オープンソースデータベースの講師として20回程度の講義を行っていましたので、OSS-DB技術者認定資格がスタートする2年間以上前から、10章あるトレーニングコースのうち、担当できる章を1章ずつ増やしていき、教えながら勉強していました。

今回、OSS-DB技術者認定資格はスタートしたばかりで、私も第一回の試験の受験者でしたが、応用的な問題もあってなかなか難しいと感じました。

最新版でさらにパワーアップするPostgreSQL

- 最近、PostgreSQLで技術的な変化はありますか

大きな変化としては、2010年9月20日にリリースされたPostgreSQL 9.0で、PostgreSQLの本体に「ホット・スタンバイ(Hot Standby)」と「ストリーミング・レプリケーション(Streaming Replication)」の各機能が採用されたことですね。複数サーバ間で参照の負荷を分散できるクラスタ構成が使えるようになりました。

ただ、せっかく9.0で採用されたストリーミング・レプリケーション機能ですが、まだ発展途上だと感じられています。しかし、今秋にリリースが予定されているPostgreSQLの新しいバージョンでは、それが完成され、さらに活用度が高くなると予想されています。たぶん、5,6年前のバージョンのものを最新バージョンにアップするだけで、データベースの性能は3倍ぐらい向上するでしょう。また最新版では、これまでのPostgreSQLの発展途上な部分も改良されました。具体的には、VACUUM等バッチ処理で行ってきたことが、自動化され、性能劣化しずらくなったり、HOT機能により、性能が飛躍的に向上したこと、また、純正のレプリケーション機能がついたこと等です。これによりリプレイスを考えているお客様に対して、最新版にバージョンアップする正当な理由ができますので、秋以降はとても忙しくなるのではないかと思っています。

- オープンソースのデータベースは、ビジネスとしてどんなメリットがあるのでしょうか

まず、新たにシステムを構築する際に、商用データベースと比べて、オープンソースのデータベースが劣っているという点が見つかりません。むしろ、商用のデータベースにあるリスクがオープンソースのデータベースには、逆にないのではないかと思っています。

たとえば、バグがあった場合、商用はそれを直してもらうのに時間がかかることがありますが、オープンソースの場合は、そのパッチを自分が作れるだけでなく、コミュニティの誰かがすぐに作ってくれるので、それを適用することで短時間で問題を解決することが可能です。また、オープンソースの場合、利用する人間が増えれば増えるほど性能や対応も強化されるのが最大の特徴です。そしてその概念はオープンソースを活用する企業にも着実に根付いてきています。

これまでオープンソースのデータベースは、Webシステムで使われることが多かったのですが、最近は病院の電子カルテや勘定系などの基幹システムでの利用も増えています。また、データベースではありませんが、官公庁でも、OSSのオフィスソフトウェアを取り入れたり、デスクトップのOSもLinux系を選ぶなど、できるだけOSSを採用しようという動きが出てきています。

大企業も例外ではありません。音楽や映像の配信サイトや旅行会社、Webショップ、ゲーム配信サイトなど、いわゆる提供する情報やコンテンツで膨大なアクセス数を持つWebサイトの多くは、データベースにオープンソースを使っています。この傾向は、今後もますます拡大していくのではないでしょうか。

コンサルタントを目指し、OSS-DB技術者認定資格の「Gold」を取得するのが目標

- 安齋さんが、エンジニアとしてこれから目指したいことは何ですか

今月からPostgreSQLのミドルウェアpgpool-IIの開発が始まります。そこでコミッターとして開発全体を管理した後、将来的にはオープンソースソフトウェアを用いたシステム開発のコンサルタントになれたらいいなと考えています。

コンサルタントの仕事には、例えば、利用者が集中する時間になると重くなってしまうWebサービスに対して、データベースの規模やシステムとの連携を調整することによって改善することなどがあります。コンサル自体は、いままでの先輩について担当したことがありますが、それをひとりでやってみたいと思っています。そのためにも30歳をめどにOSS-DB技術者認定資格の「Gold」の取得することが次の私の目標です。

データベースエンジニアは、女性に向いている職業

- 最後に、今後「OSS-DB技術者認定資格」の取得を目指すエンジニアへメッセージをいただけますか

ここ3年間ほどPostgreSQLユーザー会の「中の人」として、事務局の運営をスタッフとして担当しています。また、ユーザー会の公式サイトの編集委員でもあり、コミュニティには深く関わっています。ユーザー会では、セミナーを開催して、PostgreSQLの新しい機能についての情報交換やエンジニア同士の交流が積極的に行われます。セミナーは年に1回開催され、およそ300人が集まる大規模なものです。また、様々なテーマで勉強会も開かれていますよ。

データベースは、いまや企業のシステムの中でも非常に重要となっていて、技術的にも高度なものが求められます。ただし、Web系のエンジニアが、ブラウザのバージョンや挙動に振り回されがちなのに比べて、データベースでは、PostgreSQLの基本知識を勉強すれば、それに新しい知識を加えていけばよく、これまでの常識が覆されるような苦労はありません。一方で、必要とされているわりには、それを支えるエンジニアがなかなか育ちにくいという現状もあります。

Web系には女性のエンジニアの方も多いのですが、女性のデータベースエンジニアはまだ少なく、イベントでも、参加している女性は数人程度にすぎません。

データベースは、システムのコアに近いレイヤーの深い部分にありますが、もともと載量が少なく、遠隔でも作業ができるので、仕組みさえ作れば、産休や育休を取らざるをえない女性でも自宅で仕事することが可能です。そうなれば、職場に復帰してからもエンジニアとして仕事にブランクを感じることはあまりなくなると思います。その意味でも、データベースエンジニアの仕事は、女性に向いているのではないでしょうか。

深いレイヤーだとアウトプットが地味に見えるのかも知れませんが、スキル次第で大きな成果を上げることができるのがオープンソースデータベースの醍醐味です。ぜひ、もっと多くの女性の方にも興味を持っていただきたいと思っています。

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