「知識+理解力」が問われる
OSS-DB認定試験は
極めて実践的
「知識+理解力」が問われる
OSS-DB認定試験は
極めて実践的
今回は、大日本印刷株式会社(DNP)のC&I事業部でデータベーススペシャリストとしてご活躍されており、OSS-DB Goldの取得者でもある亀山潤一様にデータベースとの出会い、またOSS-DB Goldの重要性、今後取得を目指される方へのアドバイスをお伺いいたしました。
私は、今年で入社16年目になります。私が最初に配属されたのは、本社のC&I総合企画開発本部です。この本部では従来のアナログ印刷だけでなく、当時データベース技術を中心としたデジタル化やネットワーク化に取り組んでおり、印刷技術と情報技術を融合させた各種ソリューションを社内およびお客様に提供している部門でした。私は、商品情報統合データベースシステムを核とした業務プロセス支援ソリューション「DYNAGALAXY」開発チームのアプリケーションテストを担当しました。
ところが、アプリケーションテストでは、データベースの部分が非常に見えづらく、それが課題となっていました。しかも、性能問題などの改善に実際に取り組んでいるうち、データベース管理システムをうまく設計してチューニングすればレスポンスが早くなることもわかってきました。そこで、当時の上司から、データベースについて専門的に取り組んでみないかという勧めがあり、それがデータベースに深く関わるきっかけでした。
最初に使い始めたのはOracleでした。これまで培ったデータベース管理システムの設計や構築技術や性能改善する技術を自社内および、他社様へ提供するサービスとして「DB性能診断サービス」のチームを作りました。
それから10年経って、お客様のシステム、さらには海外のデータベースシステムとは、どういうものなのか、また、海外のデータベースエンジニアというのはどういう人たちなのかを知りたくなり、C&I事業部の中のBPR本部(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング本部)に異動しました。そこでは、企業が戦略的マーケティングを実現するPIMソリューション「Pro-V(プロ・ファイブ)」の大規模システム導入経験に加えデータベースを中心とした部下の育成も経験しています。
その後、研究開発の立場からデータベースシステムに携わり、お客様のデータセンターを知っていて、また、海外のエンジニアとコミュニケーションしてきたという経緯から、現在のITサービスマネジメント部に配属されました。
ここは、インフラの基盤技術部隊が集中している部署です。それまでの14年間、エンタープライズシステム分野でOracleを使っていたので、ITサービスマネジメント部でも、当然商用DBを使っているのだろうと思っていました。ところが、実際に異動してみると、イニシャルコストコストを削減するために価格メリットを出せる提案を本部にしなければならない立場にあり、商用では厳しいということが分かりました。そこで上司から「今、注力しているPostgreSQLを「運用」の部分からやってみてくれないか」といわれたのがOSS-DBに携わるようになったきっかけでした。
私は今、研究所の部隊とラインの部隊の中間に位置するところにいます。
研究所にいた頃は、データベース管理システムだけを知っていれば、そのシステムは、かなりの部分まで作れると思っていました。しかし、ラインでサービスとして対価を得ることを考えると、システムの知識だけではとても無理です。お客様の要望を引き出すためには、周辺のアプリケーション・サーバやOS、ネットワークに関する知識が必要です。また、プレゼンテーション力やある程度のマネジメント力、コンサルティグのノウハウも持っていなければ、お客様に対応することはできません。
さらに、研究所とリアルな顧客対応とでもっとも違ったのは時間の流れでした。研究所では、中長期的に2~3年の流れでサービスやソフトウェアを作っていきますが、ライン部門では、2~3ヶ月の間にシステムを構築しなければなりません。しかもデータベースエンジニアは、誰にも頼ることができないので、自分が出した答えに責任を持たなければなりません。
時間をかけず効率的に勉強してスキルを高め、自分の価値を認めてもらう方法を追求した結果が、LPI-JapanのOSS-DB技術者認定資格の取得でした。
まずは、OSS-DB Silverを受験しました。取得したのは、2011年12月です。そもそもこの受験は、3か月に一回の定期メンテナンスで若手の他の担当者が、PostgreSQLの機能であるVACUUM FULLが許容時間に終了できなかったことがきっかけです。そこで、これまで培ったDBMSの管理・チューニング経験を生かし、勉強し始めました。
まずは、3日ほど、Let's PostgreSQL等の文書を読み、物理と論理構造、アーキテクチャとPostgreSQLのトランザクションの概念をノートにまとめながら頭に叩き込みました。
その後自宅でLinux(CentOS)環境にソースコンパイルし、データベースクラスタとデータベースを作成。また、新規DBMSの性能調査で使うスキーマ(テーブル構造)を自分でもっており、5000万レコード程度のテーブルを作成しました。
作成したDBに適当なトランザクション(とくにUPDATE)を発行し、カーネルパラメータやGUCパラメータ等を変更した上で、性能の変化やPostgreSQLの性能特性をみていきました。また、この間に以前失敗したVACUUM FULLコマンドを実行し、メンテナンスの時間内に確実に完了できる方法をみつけ、定期メンテナンスを成功させました。
Silverを取得した翌年の2012年2月に上司から、PostgreSQL運用管理規定を策定するミッションが発令され、PostgreSQLに再度携わることになりました。
スキルアップのためにPostgreSQL運用管理の対策本をベースに、性能解析・チューニング、バックアップ、リカバリ障害対策に絞りました。検証環境のテーブルのレコード数もSilver取得時の5000万レコードから1億レコードにし、適当なトランザクションを発行して、pg_*ビューですべて稼働状況を確認。8月にOSS-DB Gold試験にトライして合格しました。
OSS-DB技術者認定資格は、限られた時間で効率的に学習し、実務に生かすという意味で有効です。試験を目標に集中的に勉強することでモチベーションを保てるだけでなく、取得することで自分の専門性を明示できるので、結果としてキャリアアップすることができます。
Silverだけでもよいと思いますが、Goldはさらにプロフェッショナルな資格です。お客様に単に情報技術を買っていただくのではなく、あくまで、お客様のビジネスに価値を提供し満足していただくことで対価をいただいています。また、チームメンバーにOJTだけではなくOff-JTでも指導していくつもりですが、お客様のデータを守る頼りになるエンジニアとして、後輩に背中を見せていく責任が私にはあります。もちろんスキルを実務でも生かせるという意味でもOSS-DB Goldは有効な資格だと思っています。
試験では、知識だけでなく、理解力も問われます。たとえば、「不適切なもの」「適切なもの」を交代に選ばせたりするため、まず、自分が問われていることは何かを正確に理解する必要があります。とくに障害回復の問題にそういったものが多いように感じました。
ひっかけ問題が多いというのも試験の印象ですが、実際に現実のビジネスの世界は引っ掛けだらけです。しかも「自分はこう思った」といういいわけは通用しません。また、初見や初動で次の対策が決まってきますから、最初の見極めが非常に重要になります。その意味では、他社の試験が「知識」を問うのに対して、LPI-JapanのOSS-DBの試験問題は特に障害対策の問題も多く、「知識 + 理解力」が問われるので、極めて実践的な内容だと思います。
LPI-Japan様主催のOSS-DB技術解説セミナーに参加してみるのもよいと思います。弊社内でもSilver取得セミナーを開催しました。個々のエンジニアからは、短時間ながらポイントをしっかり理解することが実感できたと高評価でした。また実務面では積極的に解決の難しいトラブルシューティングの役割を買って出ることをお勧めします。私がそうであるように、皆様もデータベースエンジニアであれば、OSS-DBの資格を是非取得していただき、実務で生かすことがお客様への信頼につながります。
© EDUCO All Rights Reserved.