PostgreSQLの最新技術に
追いつくために
二度にわたってOSS-DB Gold認定を取得
PostgreSQLの最新技術に
追いつくために
二度にわたってOSS-DB Gold認定を取得
鈴木泰裕さんは、富士通株式会社に勤務してまもなく20年。エンタープライズ系のデータベース開発をメインにキャリアを重ね、現在は顧客サポートチームのマネージャーを務める一方、「OSS-DB Goldは、これまで2回認定取得した」という経歴の持ち主です。
わが国を代表する総合ITベンダーとして、圧倒的な存在感を誇る富士通。近年は「フジトラ」に代表される大胆な改革プロジェクトを始め、本格的なDX時代に向けた体制作りを進めています。鈴木さんはその富士通で、入社から一貫してデータベース分野を歩んできた技術者です。
「入社した時は、個人的に華やかなイメージを持っていたアプリケーションサーバーを担当したかったのですが、研修後になぜかデータベースの部署に配属されてしまって…。どうも地味な製品の担当になってしまったなと、正直なところ思いましたが、実際にやってみるととても奥が深い製品で、面白さに惹かれていきました」と振り返って笑う鈴木さん。現在は、その豊富な経験と知識を活かして、富士通のPostgreSQLベースのデータベースFUJITSU Software Enterprise Postgresのお客様サポートチームでマネージャーとして活躍中です。
同チームは、ユーザー企業のシステムエンジニアから運用中の問題や機能の使い方に関する問い合わせを受けて、解決に向けた対応をすることが主な業務です。ユーザーサポートでは、何よりお客様システムにおける価値の最大化=顧客満足度の向上が重要なミッション。だからこそ鈴木さんも、「おもてなしの心」を常に大切にしていると語ります。
「丁寧な言葉づかいや礼儀作法はもちろん大切ですが、基幹業務のミッションクリティカルなシステムを使われているお客様が多いため、お客様の困りごとをいかに早く解決できるかが問われることも多いです。そこで何より大事なのは、聞かれたことにそのままお答えするのではなく、本当にお客様が困っていることは何なのか、ご質問の背景まで、詳細に理解して対応することだと考えています」
例えば「パラメーターの設定方法を知りたいんだけど」という相談の背後には、きっと何かそれによって解決したいトラブルなどの問題が隠れているはずです。実はその背後の問題はパラメーターの設定では解決しないかもしれません。その背後の問題までも探り当てて、専門家としての知見や技術を提供する姿勢がサポート担当者には欠かせないと、鈴木さんは強調します。
鈴木さんがOSS-DB Goldの認定取得を考えた背景には、近年のオープンソースデータベース、とりわけPostgreSQLの需要拡大がありました。同チームでは、富士通独自のデータベース「Symfoware Server」やPostgreSQLをベースとした「FUJITSU Software Enterprise Postgres」など、複数の製品サポートを手がけていますが、近年はPostgreSQL系の問い合わせの割合が確実に増えてきていました。そのような状況に鈴木さんは、自チームにおけるPostgreSQLスキルの強化が必要だと考えました。
「そうした時に、やはりOSS-DB Goldという認定資格は非常に体系的に作られていて、PostgreSQLの習熟度を示すよい指標になります。私のプロジェクト内でも、スタッフ全員に認定取得するように推進しています」
そのためにも、まずはマネージャーの立場にある自分が取得して、みんなのお手本にならないといけないと言う鈴木さんですが、実は2022年の認定取得は2回目。すでに2020年に、1回目のOSS-DB Goldを取得済みでした。この認定は5年間有意性が維持されますが、期限を待たずに2回目にチャレンジした理由は何でしょうか。
「最初に取得したのはOSS-DB GoldのVer.1.0でした。しかしPostgreSQLは、年々メジャーバージョンアップして新機能が次々に追加されています。この進化にいち早く追いついていくのが、現役の技術者としては非常に重要だと思っています。そこで2022年時点で最新だったVer.2.0を取得しておくのが、自分のスキルを確認する上でも必要と考えて再受験に踏み切りました」
「おもてなしの心」でお客様の課題を解決していくためには、常に最新の技術や知識を身につけ、使いこなせる必要があります。その意味でも、前回の取得からわずか2年で再受験する価値はあったと鈴木さんは語ります。
「サポートをやっていて一番怖いのは、何時間以内かに解決しないと大変なことになる、といった緊急性の高いお問い合わせです。ここで多いのは、お客様のシステムがダウンした、性能が遅くなって夜間処理が終わらない、など、運用にまつわるトラブル。OSS-DB Goldはまさにそのスキルを重点的に問う試験のため、そのような時に認定資格があれば自信が持てますし、心に余裕が生まれます。この余裕をもって課題に当たることが、お客様にとっての本当の課題解決につながるサポートの提供にとても大切なのです」
お客様から「何か資格を持っていますか?」と聞かれた時も、「OSS-DB Goldを取得しています」と答えると、「それなら安心して任せられますね」と言われたことも。「自信に加えて、お客様からの信用につながるという点でも、認定取得は大いに意味がある」と鈴木さんは付け加えます。
基本的な知識を重視するOSS-DB Silverに対して、OSS-DB Goldでは、データベースに関する、より実践的で幅広い知識が問われてきます。その意味で、鈴木さんはGoldの認定に挑戦する若手エンジニアに、「何か目的を持って取り組んでみるのがいい」とアドバイスします。
「実際に私たちのチームでも、自分たちで使う情報管理システムを開発して、そのデータベースにPostgreSQLを使いながら、色々経験してみるといった試みを行っています。利用者視点に立つことで色々な問題が見えてきますし、それを解決するために何を学べば良いのかという具体的な目的が定まれば、勉強したこともより身についてくるはずです」
またGold向け学習のポイントとしては、PostgreSQLの基本仕様を暗記するだけでは解けない問題が多いことから、いくつかの知識を組み合わせて、自分の経験による洞察も加えながら答えを導いていくといった積み重ねも大切だと話します。
自分自身、これからもデータベースエンジニアとして、さらに研鑽を重ねていきたいと考えている鈴木さん。OSS-DB Goldもver.3になったことから、ぜひ3回目にも挑戦したいと語ります。
「サポート業務では、データベースだけわかっていても問題を解決できません。例えばデータベースが遅いといっても、本当の原因はOSにあったりすることも。そうなるとOSの知識も身につけておく必要がありますし、最近はクラウドを使うお客様も急増しているので、クラウド系の技術領域にも対応しているLinuCなどの認定取得にも関心があります」
日々進化するテクノロジーやソリューションに遅れを取らないよう、チームのメンバーに推奨するのはもちろん、自身も学び続けていきたいと意気込む鈴木さんです。
PostgreSQLの面白さは、やはり世界中の優秀なコミュニティの方々の最新技術に触れられる点です。またそれらの情報はオープンソースなので、誰でも見ることができます。非常に美しいソースコードなので、見るだけでも学びがあると感じます。PostgreSQLを学ぶ方は、ぜひ積極的に触れてみることをお勧めします。
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