代表取締役
後藤 孝憲 氏(写真右)
専務取締役
安樂 亜子 氏(写真左)
PostgreSQL上級コンサルタント
石原 智弘 氏(写真中央)
インサイトはPostgreSQLのハイパフォーマンスチューニングに特化したコンサルティングファームであり、OSS-DBアカデミック認定校でもあります。リレーショナルデータベースの深い経験とノウハウを活かし、企業がPostgreSQLを活用するためのコンサルティングやナレッジトランスファーを軸とした事業を行っています。インサイトの活動について、おうかがいしました。
データドリブン時代のいま、企業のビジネスはデータベースというミドルウェアに支えられていると言っても過言ではないでしょう。ビジネスの意思決定に欠かせないデータベースを特定企業の製品やサービスに依存してしまうことはリスクになりかねません。インサイト 代表取締役 後藤孝憲氏は「データベースを守ることは、企業の最後の砦を守る自負につながると思います」と言います。
インサイトの設立は2012年。当初はOracle Databaseも扱っておりましたが、PostgreSQLへの移行ニーズをとらえ、今ではPostgreSQLのコンサルティングやハイパフォーマンスチューニングにフォーカスしています。
同社のコンサルタントは全員がOSS-DB Goldだけではなく、OCP(ORACLE Certified Professional)も保有しているため、的確なPostgreSQLへの移行サポートができるのが強みです。性能目標や機能要件、移行コストも加味した上で、PostgreSQLへの無理のない移行を成功に導きます。またPostgreSQLのソースコードに目を通せるほど内部構造を熟知しているため、ハイレベルなパフォーマンスチューニングを実現できます。
企業のIT現場が抱えるデータベース周辺の課題として、後藤氏はベンダーロックインとエンジニアへの教育を挙げます。
特定企業のデータベース製品やサービスに過度に依存してしまうとベンダーロックインが発生し、コスト面や機能面で身動きが取りづらくなります。もちろん商用データベースが過去に果たしてきた役割や有用性は大きいものの、「経営者なら、企業のビジネスになくてはならないデータベースを他社の胸三寸に左右されることは潔しよしとしないでしょう」と後藤氏は言います。
その点、PostgreSQLは透明性あるオープンソースコミュニティで開発が進んでいるデータベースです。リレーショナルデータベースとして見ても長い歴史と実績があり、極めて高度または特殊な要件がなければ十分実用に耐えます。
商用データベースからオープンソースデータベースに移行する場合、互換性が高いPostgreSQLに準じたデータベースが選択されることがほとんどです。ただし移行や運用にはPostgreSQLについてのノウハウや勘どころが必要になります。商用データベースからPostgreSQLの移行を成功させること、PostgreSQLで高い性能を出せるようにすることは、そう簡単ではありません。
そのためエンジニアがPostgreSQLの十分なノウハウを持つようにすること、すなわち教育も重要な課題です。短時間で大きな成果を出せるように、またスキルがチームに定着するように、インサイトでは顧客企業にいるエンジニアへのナレッジトランスファーを重視しています。
インサイトが商用データベースからPostgreSQLに移行する企業を支援する過程で、顧客企業のエンジニアがスキルを底上げする必要性を痛感することが多くあったそうです。目の前の課題解決につながるコマンドや操作を知るだけで満足してしまうと、似たようなトラブルや問い合わせが繰り返されてしまいます。同社 専務取締役 安樂亜子氏は「マニュアルレベルの質疑応答だけでは、本質的な問題解決につながりません」と断言します。
かといってエンジニア個人が自主的にスキルアップするだけだと(一見いいことのように見えますが)、特定の個人にだけ仕事が偏り、属人化を招いてしまったり、別の企業へと転職するために退職してしまうことも起こりかねません。個人の自主性に委ねてしまってはいい循環が起こりません。
当初インサイトではPostgreSQLやLinuxの勉強会を開催するなど、エンジニアのスキルアップのための活動をしていましたが、学習の効率を高めるためにOSS-DBやLinuCを活用するようになりました。安樂氏は「認定試験の教材を使うと体系的に学べますし、合格すれば本人の自信に繋がります。組織としてもスキルの底上げが可能となります」とメリットを説明します。いまではOSS-DBアカデミック認定校となり、それぞれの企業に合わせてナレッジトランスファー型の高品質な教育を提供し、チーム作りを支援しています。
後藤氏は「海外のエンジニアは資格を取得して、自分の市場価値をアピールします。日本のエンジニアも公的なものさしとなる資格を活用してもいいのではないでしょうか。そうすればエンジニアは自らの地位向上につなげることができます」と言います。
昨今ではフルマネージドのデータベースサービスもあり、データベースを深く知らなくても手軽に利用できる環境が整いつつあります。しかしパフォーマンスチューニングが全く不要になるわけではありません。同社 PostgreSQL上級コンサルタント 石原智弘氏は「非効率なクエリがあるかもしれませんし、性能を制限する何らかの要因があるかもしれません。それらを取り除くことで処理時間が、例えば1時間が数秒に変わるなど劇的に向上することがあります」と言います。
安樂氏は「指示されたコマンドを操作するだけではエンジニアというよりはオペレーターではないでしょうか。データベースの体系的な知識を持ち、処理の無駄を見抜いて最適化が図れるようなエンジニアになるのか。フルマネージドのデータベースをただ使うだけのオペレーターになるのか。データベースに携わるのであれば、自分はどちらに進むのか考えてもらいたいですね」とエンジニアに問いを投げかけます。
OSS-DB技術者認定資格を運営しているLPI-Japanに対して、後藤氏は「エンジニア本位に考えて活動しており、また非営利団体で利益を追求しないので、公平性が保てるところがいいと思います」と評価しています。
また安樂氏は「受験者が本当に実用的なデータベースのスキルを持っているかどうかを見極めることができるような試験となるように、品質を維持できているところが信頼できます」と言います。海外の資格試験では出題内容と解答がネットで公開されてしまうことで、試験の信頼性が落ちてしまうことがあります。しかしOSS-DBやLinuC試験は設問数の多さや、設問の入れ替えや更新をすることで、受験者の実力を適正に測ることができる試験となっています。
今後インサイトでは、PostgreSQLのハイパフォーマンスチューニングのコンサルティングとエンジニアへのナレッジトランスファーを中心にビジネスを進めつつ、OSS-DBの学習にも役立つ実務レベルの教材を電子書籍で提供することも考えているそうです。
あらためてデータベースのハイパフォーマンスチューニングを実施するメリットについて、石原氏は「高いパフォーマンスを出せるデータベースは(不備を減らせているので)トラブルが起きにくいです。処理時間が短くなりユーザー体験が向上しますし、クラウドのインスタンスを下げることができてコストメリットにもつながります」と説明します。
最後に後藤氏は「日本企業がベンダーロックインから解放され、より強固で持続可能な成長を遂げるために、ハイパフォーマンスチューニングのコンサルティングやナレッジトランスファーを通じて貢献していきたいです」と熱意を語りました。
会社概要
■商号 株式会社インサイト
■設立 2012年4月11日
■資本金 3,000万円
■代表者 代表取締役 後藤 孝憲
■所在地 東京都中央区勝どき3-13-1 フォアフロントタワーⅡ 12F
■事業内容
・PostgreSQLのハイパフォーマンスチューニング
・PostgreSQLのナレッジトランスファー
・脱Oracleコンサルティング
© EDUCO All Rights Reserved.