変化の激しいエンジニアリングの世界で自立自走できる
尖った技術者になるために

株式会社ランドコンピュータ

株式会社ランドコンピュータ
代表取締役 社長
福島 嘉章 氏(写真中央)

株式会社ランドコンピュータ
取締役 常務執行役員
山村 敬一 氏(写真右)   

LPI-Japan
理事長
鈴木 敦夫(写真左)   

日本コンピュータ学院をルーツに持つランドコンピュータは、教育機関が背景にあるため技術者の育成にとても熱心です。スキルを増やす手段としてだけではなく、モチベーションを維持するためにも資格取得を推奨しています。同社の経緯や取り組みについて、LPI-Japan理事長の鈴木がうかがいました。

半世紀以上前からコンピュータ教育の道を切り拓き、事業へとつなげた

鈴木敦夫(以下、鈴木) 御社の歴史も含めて特徴を教えてください。

福島嘉章氏(以下、福島) ランドコンピュータは1971年に日本コンピュータ学院から分離独立する形で生まれました。背景には田村の三兄弟が切り拓いた学校群があります。田村哲夫は進学校の渋谷教育学園、田村邦彦は専門教育の田村学園、そして田村秀雄はIT教育の日本コンピュータ学院をそれぞれ率いていました。

日本コンピュータ学院の初学学院長は「日本のロケット開発の父」と呼ばれる糸川英夫博士が就任しました。この糸川博士がアメリカのシンクタンク「RAND Corporation」に在籍していたことから、社名に「ランド」をつけました。

教育機関がルーツにあるので、教育には力を入れています。特にエンジニアリングの世界で、エンジニアが自立自走するにはスキルがベースになります。もちろん他にも大事なものはありますが、ランドコンピュータではスキルを培うための手段として資格取得を推奨しています。2025年度時点ではエンジニア1人あたり平均4.38個の資格を所有しています。

鈴木 IT企業としてはとても長い歴史もお持ちです。

福島 創業時はメインフレームから始まりましたが、事業内容は時代ごとに変化しています。私が入社した10年前は売上の7割をSIが占めていました。この10年で売上が倍増するなか、構成比で見るとパッケージ事業は3%から3割に成長するなど大きく変化しています。常に時流を見極めるようにしています。

鈴木 なるほど、個々に作り込みを行うSIから特定の強みをパッケージとして展開する事業へ発展させていったのですね。今、あらゆるビジネスがITで再構築されていくなか、クラウドや生成AIを使い倒し、企業に価値を創りだせる技術者が求められています。もし技術者が本質的な理解をしていないと技術に「使われて」しまいます。そのため、LPI-Japanでは「オープンな技術を通して技術者として必須の基礎技術力を身に着け、証明できるの認定試験」に取り組んでいます。御社ではこういった新たな技術を生かしていくために、どのような取り組みをされていますでしょうか?

山村敬一氏(以下、山村) 生成AIやAIエージェントは私たちにも大きな関心事です。生成AIは社内の効率化に役立ちますが、ビジネスにするのはまだ難しい。実際の業務に生成AIを適用するには情報が外部に出ないように自社でLLMを作って提供したり、自社内の多様なデータをLLMで処理しやすいようにベクトルデータベースとして実装したり、業務上の独自のデータを組み合わせるなど高度な技術が必要となります。これらをソリューションとして提供し顧客企業のデータを上手く扱えるようにしたいと考えています。他にも時流を見て、的確に新技術や動向に追随していきたいです。

近年特に私たちが力を入れているのがモダナイゼーションです。私たちは古い技術も新しい技術も熟知していますので、新旧の橋渡しができるのが強みです。例えばCOBOLをクラウドにリフトするだけではなく、よりよいものを作るための提案ができます。技術者のスキルも新しいものをどんどん追加していくことが大事だと考えています。

新人研修ではプログラミング言語やデータベース技術、クラウド技術と時流に合わせた基礎を学ぶ

鈴木 どのように技術者を育成していますか?

山村 新人研修の3ヶ月間でプログラミング言語はJavaとPython、データベースはOSS-DB(Silver)、クラウドはAzureを学んでもらいます。まずはコードを書く、テストやデバッグなどの工程を経験して、基本的なことを習得します。社内には等級制度があり、新人は学生時代に学んでいたら飛び級もありますが、1等級から始めます。等級制度はその人に合わせた成長を促せるような仕組みです。またトレーナーがそばについてサポートします。

鈴木 資格取得に力を入れているとのことですが、どのように支援していますか?

山村 技術者は半年に一度の上司との面談で、それぞれの事業方針に合わせてどのような目標を持つのか、どの資格取得に挑戦するかを話し合います。基本情報技術者試験はほとんどの技術者が取得しており、これに加えて業務に合わせたベンダー資格、技術者認定資格を目指しています。他にも業務知識を得るために、例えば金融業界ならファイナンシャルプランナーの資格や簿記の資格なども範疇です。同じ試験であれば、2回までは受験料を支援しています。

福島 同じく半年に一度、課長に対して所属しているメンバーのスキル育成状況を報告してもらっています。課長は45人いるので、全員終えるまで1週間かかります。マイクロマネジメントですが、それぞれが腹落ちして進めてもらうためには必要なことだと考えています。

鈴木 社員育成や資格取得への熱意、全くぶれないのが素晴らしいです。多くの企業が中途採用を増やし、「スキルアップは自分の責任」とばかりに自社で社員を教育することを放棄しつつあります。丁寧に社員を教育してきた文化や習慣を突然ドラスティックに変えるのは危うさも伴います。また資格はモチベーション維持にも役立ちます。

福島 資格取得する意味を技術者自身がどれだけ腹落ちしているかが大事です。自分自身との戦いではありますが、会社はマザーシップとして社員を支える土壌として役割を果たしていきたいです。

新人研修受講後にはほとんどの技術者がOSS-DB Silverを取得

鈴木 御社は2025年度単年部門のOSS-DB Silver認定者数上位企業ランキングで首位を獲得されました。

山村 新人研修でOSS-DBの出題範囲をベースにデータベースを学んでもらっています。毎年ほとんどの新人が新人研修後にOSS-DB Silverを取得しています。

鈴木 データベースを学ぶ題材にOSS-DBを選んだのはなぜですか?

山村 かつてはORACLE MASTERを採用していました。直近ではOracle Cloudで情勢が戻りつつありますが、近年リーズナブルなシステムを構築するデータベースには(OSS-DBがベースとしている)PostgreSQLが選ばれています。またPostgreSQLはシンプルでプリミティブなことを学ぶのに適していることも挙げられます。例えばPostgreSQLにはVACUUMがあります。ベンダーのデータベースなら暗黙のうちに自動的に処理してしまうのでどう動いているかわからないのですが、PostgreSQLではVACUUMとautovacuumを使って明示的に自動化を実現します。このため「データベースはこうやって動くのだ」と原理原則を知る機会になります。OSS-DBでデータベースの仕組みを理解できれば、ベンダーのデータベースを扱うのも楽になります。

鈴木 おっしゃる通りですね。OSS-DB資格取得者からはどのような声が挙がっていますか?

山村 技術者は理系・文系出身が半々くらいいるのですが、文系出身者からは「データベースの基本動作が分かりました。これでシステムエンジニアになれる気がします。」とIT未経験でも仕組みが分かって自信がついたという声がありました。

鈴木 なるほど、意図通りの効果が出ているようですね。PostgreSQLは、もともと日本ではユーザーコミュニティが活発で根強い人気や信頼がありましたが、最近ではグローバルでも人気が高まっており、現在、世界で最も多く使われているデータベースと言われています。近年ではAI活用を想定した機能拡張に力を入れるなど、いまだに進化を続けていますので、教育効果だけでなく実益もあると思います。

なぜIT業界でエンジニアとして働くのか。常に自問自答してほしい

鈴木 私たちは資格には主に2つの力があると考えています。1つは“実力を見える化する力”です。スキルを可視化できるので、正しい評価につながります。これは適切な仕事を与えられることにもつながります。もう1つは“導く力”です。何を学ぶかを示し成長を促すことができます。そのため私たちは試験開発にこだわっています。現場で活躍する多様な技術者が参加するコミュニティで何を学ぶべきかを議論し、「何に対して何を理解しているべきか」わかるように出題範囲を定め、本質的な仕組みが分からないと解答できない設問を意識して作っています。こうした取り組みが、本質的な技術の仕組みを理解し、自分の頭で考え変化に対応できる強い技術者の育成につながると考えています。

最後に、今後の技術者育成の展望についてぜひお聞かせください。

福島 これからも時流に合わせて、技術者が必要な資格を取得できるように、仕事で活かせるように継続的に取り組んでいきます。技術者は日々の業務で品質や納期に追われて大変ですが、技術者として生きていくには何か尖ったものを持たなくてはなりません。ただ漫然と業務をこなすのではなく、節目ごとにどのような目標を掲げるか確認することが大事です。そうすることでやる気もでてきます。

もし目標を見失いそうになったら「何のためにIT業界に来たのか。技術者になったのか。」に立ち返ってもらいたい。お金のためだけではないはずです。答えは自分の中にあります。エンジニリングに挑戦する技術者として矜持を持ち続けられるように、考えを促していくことが大事だと考えています。

山村 IT業界は進歩が激しい世界です。パソコン、インターネット、クラウド、生成AIなど、「これからは○○でしょ!」と言われるような大きな変化がおよそ10年ごとに起こります。新人ですら先輩を凌駕することができてしまうことが起こります。ですので「勉強が面白い」と感じられるような「知りたがる」技術者を育成していくことが重要と考えています。

鈴木 やはり、変化し続けるIT技術の世界で価値を発揮していくためには学び続けることが重要ということですね。だからこそ、新人の時からしっかりと基礎技術を学ばせるだけでなく、一人一人が自己研鑽の目標を立て、組織としてフォローを行う体制を維持し、学ぶ姿勢を永続的に支援されているのだと感じました。

本日は貴重なお話をいただきありがとうございました。

会社概要

■商号    株式会社ランドコンピュータ
■設立    1971年(昭和46年) 1月13日  
■資本金     460,063,700円 
■代表者   代表取締役 福島 嘉章
■本社所在地   〒108-0023 東京都港区芝浦4丁目13番23号 MS芝浦ビル 
■事業内容 
・システムインテグレーション
・インフラソリューション
・パッケージソリューション
・クラウドソリューション
■URL.       https://www.rand.co.jp/ 

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