今回は、Silverの「開発/SQL - トランザクション」からの出題です。
※この例題は実際のOSS-DB技術者認定試験とは異なります。
例題公開日:2011年10月13日
正解は「4行」です。
トランザクションの取り扱いは、RDBMSの種類によって実装に違いがあります。
PostgreSQLでは、BEGIN(またはSTART TRANSACTION)文によりトランザクションが開始され、COMMITまたはROLLBACK文によりトランザクションが終了します。
トランザクションの外側で実行されるSQL文については、その直前にBEGIN、直後にCOMMITがあるものとして処理されます。つまりINSERT/UPDATE/DELETEの実行と同時にデータベースが更新されます。
他のRDBMSには、明示的なBEGIN(あるいはSTART TRANSACTION)文を必要とせず、自動的にトランザクションが開始されるものもあります。この場合、COMMIT文を実行しない限り、DMLによる更新はデータベースに書きこまれません。
また、RDBMSの種類によっては、CREATE TABLEなどのDDL文を実行すると、自動的にCOMMITが実行されて更新がデータベースに書きこまれ、トランザクションが終了するものもあります。
PostgreSQLではこのような制限はなく、DDLもトランザクションの一部として処理され、後でROLLBACKすることもできます。
さて、この例題のトランザクションですが、最初にテーブル t1 を作成し、2行のデータを挿入しています。
ここまではトランザクションの外側なので、COMMITが自動的に実行されデータベースに書きこまれています。
次のBEGINでトランザクションが開始します。
テーブル t1 に1行挿入した後、テーブル t2 を作っています。
RDBMSの種類によっては、この段階で暗示的にCOMMITが実行されて、テーブル t1へのデータの挿入が書き込まれますが、PostgreSQLでは、COMMITは実行されず、まだトランザクションが終了していません。
この後、t2 にデータを挿入した後、ROLLBACKを実行しています。
ROLLBACKにより、BEGINの実行直前の状態に戻ります。
つまりBEGINの後に実行したSQLは、テーブル t2 の作成も含めてすべて実行されなかったことになります。
次に t1 にデータを2行挿入していますが、これはトランザクションの外側なので、やはりCOMMITが自動的に実行されてデータベースに書きこまれます。
最後にROLLBACKを実行していますが、対応するBEGINがないので、これは無視されます。
従って、問題のSELECTでは、最初に挿入した'aaa'と'bbb'、および最後に追加した'eee'と'fff'の4行のデータが返されます。
トランザクションはデータベースにおいて非常に重要な機能の一つですが、このようにRDBMSの種類によって実装が異なる部分があるので注意が必要です。
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